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院長ブログ

なぜ味覚を感じるの?

味蕾の働き

人の舌には味を感じる器官として成人で約5000個の味蕾があります。幼児期には約10000個の味蕾があり、加齢に伴い減少します。また、タバコや刺激物でも減少すると言われています。その味蕾の中に50個前後の味覚細胞(味を識別する細胞)が存在します。そのそれぞれ個々の細胞が甘み・苦み・酸味・旨み・塩味の5つの味を感じとります。 もちろん味覚細胞には寿命があり、約1ヶ月で入れ替わり、新たな味覚細胞が再び機能し始めます。

味覚細胞の信号は脳へ

食物中の味成分は唾液に溶け込み、その味分子が味蕾の味覚細胞受容体に作用します。その刺激作用が感覚神経を介して脳内の味覚野に信号を送ります。その信号と視覚(食材や料理の色、形)・臭覚(食材や料理のにおい)・触覚(食材や料理の硬さ・柔らかさ)・聴覚(焼ける音や舌鼓の音など)などが脳内で統合してその素材や料理の味を感覚として認識します。

味覚異常の原因

偏食による微量金属やビタミン類などの不足
偏った食事では特定成分、特に亜鉛などが不足すると味蕾の新陳代謝が落ちて、味覚障害があらわれます。

加齢による感覚閾値の減少
加齢とともに聴覚を始め、感覚器の感度(認識閾値)が落ちてきます。味覚異常の患者さんの半数は高齢者です。

臭覚の低下による味覚障害
風邪を引いた時など鼻づまりが起こると味がわからなくなりますよね。つまり、味覚と臭覚は他の感覚より密接に関係しています。味覚は視覚や臭覚など色々な感覚器信号を総合した脳の処理機能です。情報が集まれば集まるほど味覚はより鋭敏になります。

口腔内の異常
舌に炎症や火傷が起こり、味蕾が傷ついたり、口腔内が乾燥して唾液が少なくなるなど口腔内に問題が生じると味覚は低下します。

薬の副反応
降圧薬、精神疾患薬、鎮痛解熱薬、抗アレルギー薬、消化機能薬、抗がん剤などの副反応により味覚障害が起こる場合があります。

味覚異常になりやすい疾患

亜鉛欠乏症
通常は不足しない微量金属ですが、何らかの原因で体内の亜鉛が欠乏すると味覚や嗅覚に障害がでたり、皮膚炎、脱毛、食欲不振、性欲低下など種々の異常が引き起こされます。

亜鉛が多く含まれている食材としては、牡蠣、小麦、レバー、牛肉、ポップコーン、チェダーチーズ、豚肉、鶏肉、緑黄色野菜、卵などがあります。

舌炎
舌の表面には味蕾がありますが、舌に炎症や火傷が起こったり、舌苔などが出現すると味覚細胞が傷つき、味覚障害がおこります。

口腔内乾燥症(ドライマウス)
加齢やストレス、薬の副反応で唾液の分泌が減ると味成分が溶けないため、味覚細胞のセンサー機能が低下します。

貧血
貧血になると舌への血液供給量も減り、舌表面の味蕾も萎縮して舌全体がツルツルになり、味覚障害が起こります。

糖尿病
糖尿病の神経障害で脳内に味覚細胞から味信号を伝えにくくなります。

顔面神経麻痺・聴神経腫瘍・脳梗塞・脳出血・頭部外傷
味覚細胞からの神経伝達が脳に伝わり味覚、臭覚、触覚、視覚などを統合して味を感じるという味覚の原理を考えると神経障害や脳障害で味覚異常が発生するとことが理解できると思います。

味覚異常の検査と治療

味覚障害の患者さんは増えています。血中亜鉛濃度を測定しましょう!

血液中の亜鉛を測定して亜鉛不足であれば、亜鉛剤を投薬します。その他の検査としては電気味覚検査や紙ディスク法検査などがあります。また、ビタミンB1誘導体(アリナミン)を注射する臭覚機能検査なども行います。

上記疾患に代表されるように原因がわかればそれに対して治療を行います。

亜鉛欠乏症の治療薬は2種類あります。
ノベルシン(酢酸亜鉛:適応症 ”ウイルソン病” ”低亜鉛血症治療剤”;50mg錠で50mgの亜鉛含有量があります)元々は銅の腸管からの吸収を阻害し、排出を促すためのウイルソン病の治療薬なので、銅欠乏症に注意する必要があります。

プロマック
(ポプラレジンク:適応症 ”胃潰瘍”;1錠で16.9mgの亜鉛含有量があります)亜鉛の組織修復作用とL-カルシノンの細胞膜安定化作用で胃炎・胃潰瘍を治す治療薬です。薬価はノベルジンの10分の1ほどで安価です。

*亜鉛不足で起こる症状
生体内では鉄についで多い必須ミネラルです。亜鉛が欠乏すると種々の問題がおこります。たとえば味覚障害、皮膚炎、脱毛、食欲低下、貧血、下痢、骨粗鬆症、発育障害、創傷治癒遅延、性腺機能障害、易感染性などです。このように様々な生体内作用に関与している亜鉛は鉄欠乏症の次に注目されています。

*一日に必要な亜鉛摂取量
成人男性では10mg、成人女性では8mgです。ノベルシンやプロマックの亜鉛含有量は一日の必要量を軽く超えていますが、小腸からの吸収率は30~40%ほどです。また、過剰に取り過ぎた亜鉛は小腸で吸収されず排出されますので、過剰症はそれほど気にしなくてもよいでしょう。

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