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院長ブログ

性感染症

性感染症まめ知識

性行為を通じて感染する病気を総称して、最近は「性感染症」と呼んでいます。
英語のSexual Transmitted diseseの頭文字を取ってSTDあるいはSTI(Sexually Transmitted Infection)とも呼ばれます。現在では30種類以上の病原微生物が性行為により伝播されると考えられています。

最近、性感染症(梅毒やクラミジアや淋病など)が再び増加傾向にあります。特に若年者感染が増加しております 。

エイズ(HIV感染症)も特殊な人だけがかかる病気ではなく、普通の人が普通の性行為で感染する病気です。
エイズは世界でもすでに3000万人以上の人が感染し、日本でも感染する人が増えており、身近な病気となってきています。多くの人と性交渉をする人だけでなく、特定の人としか性交渉をしない人でも性感染が増加しています。

そのため、淋病や梅毒が感染の中心の時代は、特定の人がかかる病気というイメージが強かったのですが、今やSTDは、一般家庭に容易に入り込むまでに広がりを見せています。

性感染症は他の疾患に比べ、恥ずかしい病気と考え、なかなか病院を受診しにくいことが多いようです。中にはノイローゼになってしまったり、社会生活を送れなくなってしまう人もいます。

反対に全く病識がなく、薬を飲めば治る程度に考え、キャリアーとなったまま性行為を繰り返し、不特定多数のパートナーに感染させていくような人も見うけられます。

いずれにせよ治療には迅速な診断と適切な治療そして定期的な経過観察が大切です。おかしいかなと思ったら医療機関を受診してください。


STDを予防するにはとにかくコンドームの使用が必要です!! 

STDは粘膜と粘膜の接触によって感染するため、避妊目的とは異なり性的接触の前に始めから装着することが重要です。コンドームは天然ゴム製ではなく、ウイルスによるSTDの防御にすぐれているラテックスコンドームを使用するほうがよいでしょう 。

近頃はフェラチオによる咽頭の淋菌感染の蔓延も問題になっており、性器以外に口腔内でも粘膜と粘膜が接する場所では必ずコンドームを使用しましょう。

世界中の多くの国々では、コンドーム使用キャンペーンの普及や性感染症/エイズ予防意識の向上により、予防や治療対策が徹底してきており、日本以外の殆どの先進国では、淋病感染例が最近急激に減ってきています。
この淋菌感染症流行の動向が、その国の性感染症/エイズ予防意識がどの程度か示す、一番よい指標とさえ考えられています。ところが、日本では驚くことに最近、男子の淋菌感染症やクラミジア感染症、そして梅毒が増加の一途をたどっています。
これは、恐いエイズはもう性感染症としてあまり心配しなくていいというような社会的風潮がひろがっているため、性感染症に対する警戒心や予防意識がかなり低くなっていることによると言えます。
この淋菌感染症やクラミジア感染症の増加は、きわめて感染の可能性の高いフーゾク街でも、コンドームをつけない、無防備の性交渉をする人が増え続けている風潮を反映してます。
性の自由を楽しんでいる若い普通の女性にも、無症候感染をしている人がいるため、フェラチオ等のオーラルセックスも含めてどんな場合でも、コンドームの装着がないと感染してしまう可能性のあることを忘れないでください。

主な性感染症

淋菌感染症
かつて性病の代表のようであった淋菌感染症も、ペニシリンなどの抗生物質の普及のおかげで、昔からみると大分感染例が減りました。しかし、男性の淋菌性尿道炎としての淋菌感染症は、今もまだ残っていて、かなりのひろがりをみせています。 感染経路は尿道、子宮頚部、直腸、咽頭の上皮感染で主として性交によっておこります。グラム陰性で腎臓形をした双球菌ですが、他の化膿菌と異なり、健康な粘膜の表面にも感染する性質をもち、とくに円柱上皮に感染するため、子宮頚管の円柱上皮に初感染し、ついで尿道、子宮内膜、卵管などの円柱上皮に感染が伝播いたします。
潜伏期間は男性では2-14日間
症状は尿道の不快感、それに続き尿道から黄色膿汁が出て、強い排尿痛があります。

女性では7-21日間の潜伏期で一般的に症状は男性より軽くなり、数週間または数ヶ月間にわたって膣や咽頭にすくった淋菌の無症候性キャリアーになります。
症状としては膿性の帯下(おりもの)が増加する程度です。そのような無症状の感染女性からうつされた淋菌でも、男性が感染すると、激しい尿道炎を訴えます。

淋菌感染症は、昔に較べ最近は症状が軽くなってきたとはいえ、やはり男性では、尿道の炎症は尿がしみて、痛みなどの症状がでやすく、比較的早く診療を受ける人が多いので、公衆衛生学上、また、医学的にも管理し易い感染症となっています。

クラミジア感染症
症状が激烈でないため発見が難しいクラミジア感染症が最近、激増しています。 クラミジア感染症はクラミジアトラコマチスという細胞内で増殖する病原体によって感染します。

初期感染の症状は軽く、微熱や軽度の下腹部痛、帯下の増量などですが、病原体の増殖が頚管から子宮付属器、肝周囲に進展すると激烈な腹膜炎症状を呈することがあります。また、不妊症の原因となったり、母児感染を起こし新生児の眼疾患の原因となります。
クラミジアトラコマチスは細菌とウイルスの中間程度の大きさのきわめて小型の細菌であり、最近ではSTDの代表的疾患となりました。

男性では感染の7-28日後に軽い排尿困難と尿道不快感、透明分泌物があります。上行性感染を起こした場合、尿道炎、前立腺炎、精巣上体炎をおこす場合があります。

女性では子宮頚管の円柱上皮に感染しますが、ほとんどが無症状です。中には膣分泌物の増加、排尿障害、頻尿、骨盤痛、性交痛があり、慢性に経過し、上行感染を起こし、子宮頚管から子宮内膜筋層炎、子宮付属器炎、骨盤腹膜炎などの骨盤内炎症性疾患(pelvic inflammatory disease:PID)へと進展し、骨盤の慢性的な痛みや子宮外妊娠、および不妊症を引き起こします。
女性の子宮頚管から約5-10%の頻度で本菌が検出されますが、そのほとんどは無症状です。クラミジアは、感染してもしばらくは症状がないか、あってもごく弱いため、患者本人も気づかずにほかの人に感染させることも少なくありません。
あるデータによるとクラミジア抗原陽性者の割合が外来患者さんの7%を占め、抗体陽性者は20~25%に達するといいます。

*骨盤内炎症性疾患(pelvic inflammatory disease:PID)
* 子宮内膜筋層炎、子宮付属器炎、骨盤腹膜炎、ダグラス窩膿瘍などを総称して内性器感染症といいますが、内性器感染症ではこれらの疾患が同時におこっていることが多く、臨床上個々の診断名を特定することが困難です。このため、内性器感染症がある場合それをPIDと表現することが多くあります。

梅毒 
梅毒はコロンブスがアメリカからヨーロッパヘもたらし、かつては世界的に大流行し、性病の代表とされていた性感染症です。梅毒トレポネーマという細い糸状のらせん状菌。淋菌とは異なり、損傷のない皮膚、粘膜からは感染しません。 スピロヘータである梅毒トレポネーマによって引き起こされる伝染性全身性疾患で、一連の臨床的段階をへて最終的には中枢神経まで犯されます。
ペニシリン出現後は梅毒の流行も影をひそめるようになってきました。現在では、一部ではいまだに残っているものの我が国の全性感染症のうち、0.8%程度と少なくなっています。
ただ最近、ペニシリンが他の性感染症治療に使われなくなってきたことの結果として、他の感染症と一緒に感染している梅毒が、他の感染症の治療後も残ることがあり、徐々にまた増えているとされています。
最近は、あまり局所に症状が出ないで感染している場合もあります。最近の統計では既婚の妊婦での検査では、約0.2%(500人に1人)が梅毒検査で陽性になっています。

梅毒の症状は4期に分けます。
第一期梅毒の潜伏期間は1-13週間です。初期病変は下疳という局所リンパ節の腫れで痛みを伴わずに潰瘍化します。感染後2、3週間で局部に小さな硬結ができ、それらが崩れて潰瘍となるのが特徴です。
第二期3-4ヵ月後、かゆみのない小さな薄赤色の丸い皮疹(バラ疹)を生じます。2 ~3ヶ月後に特徴的な全身に梅毒疹ができます。
第三期3-10年後、内臓や組織に微慢性にひろがる肉芽組織ができますが、最近ではここまで進行することは少ないようです。
第四期になるとスピロヘータが神経器官に感染し、中枢神経系に障害が起こります。

尖形コンジローム(性器疣贅)
通常は、性器疣贅は柔らかく湿生の微小な桃色または灰色のポリープとして出現します。表面はカリフラワーの表面に似ています。男性では、通常、包皮下領域の温かく湿った表面、冠状溝、尿道内、そして陰茎幹に最もよくみられます。女性では、外陰、膣壁、子宮頚部および会陰に生じます。 感染者との性交あるいはその類似行為による接触によって感染が成立します。潜伏期間は数週間から数ヶ月とされています。
また妊婦が尖圭コンジロームに感染している場合の母子感染は、極めて稀に成立するとされている(1%以下) 良性型のヒト乳頭腫ウイルス(HPV)による感染です。手や足の”イボ”も同じ種類のウイルスで起きるのですが、尖圭コンジロームは、性器につき易い型のウイルスです。
ヒトパピローマウイルスは二重らせん構造のDNAウイルスで現在60種以上の型が存在するとされています。その中には皮膚型と粘膜型に分類され、それぞれに良性型と悪性型があります。
尖圭コンジロームは粘膜・良性型の6型、11型の感染によるものであり悪性化の心配はありません。 粘膜・悪性型のウイルスは子宮頸癌、外陰癌、外陰部ボーエン病、時には口腔癌、咽喉癌の発生などの原因となることがあります。子宮頸癌や外陰癌の発生に関与する粘膜・悪性型には16・18・31・33・52・58型などがあります。悪性型と言っても感染直後に直ちに悪性化し、生命予後に影響を及ぼすわけではありません。
この悪性型ヒト乳頭腫ウイルスの感染流行が、若い人々の間へのひろがりをみせはじめ、その結果として、最近、子宮頸癌の発生が、かなり若年化しているとされています。このようなタイプのウイルスが検出された場合には注意深い経過観察が必要です。 治療は出てきた”でき物”を切除や焼灼して取りますが、感染したウイルスが根の所に深く残り、再発を繰り返す可能性があります。再発という面ではかなり注意しなければならない性感染症です。根気よく治療してください。
子宮頸がんワクチンが開発され、HPV感染予防のため、接種が推奨されています。

また、外性器の乳頭状の変化とし、前庭部乳頭腫がありますが、こちらは感染性はないので、尖圭コンジローマとの確実な鑑別が必要になります。

性器ペルペス
女性に多い性感染症としてウイルス性の性感染症である”性器ヘルペス”もその傾向があります。性器ヘルペスに密接な関係がある2種類の単純ヘルペス(HSV-1、HSV-2)感染によるものです。報告症例数はクラミジアの約3割程度ですが、やはり男女比は1:2.4 と、断然女性が多くなっています。女性に多いのは、感染しにくい皮膚で覆われている男性の場合より、女性では外性器や子宮頸部は、表面が感染しやすい粘膜でおおわれているためと考えられます。
この性器ヘルペスが問題なのは、局所にはっきりした病変がない時でも、性器からウイルスを排出していて、パートナーにうつす可能性があることです。特に女性の場合、性器が奥まっているために、小さな病変が見落とされ易いことも多く、また、腟の奥にある子宮頚部の病変は、まったく気付かれないわけで、パートナーにうつす可能性もかなり高くなります。

初期病変は接触後4-7日で現れます。男性では、包皮、陰茎亀頭および陰茎幹に、女性では陰唇、陰核、会陰、膣そして子宮頚部に性器に痛みのある小水疱が出て、それが破れると潰瘍が多発し、それが2週間ほどつづき、消えます。
女性の場合、腟前庭に潰瘍ができると尿が滲みて、排尿時の激痛に悩まされます。特に以前にHSV感染の病歴がない患者では、初回発生時に病変は再発病変よりも痛みが激しく長く続き、広範囲にわたります。しばしば初回発生に限って発熱、倦怠、および局所リンパ節腫脹が起こります。

この性器へルペスで厄介なことは、治癒しても神経根にウイルスが残り、再発することです。一旦感染した患者にとっては深刻な問題をはらんだ感染症といえます。

トリコモナス
膣トリコモナスは男女両方の尿生殖管にみられる有鞭毛原虫です。この微生物は通常洋梨型で、大きさは平均7-10μmです。膣炎や尿道炎、時には膀胱炎を引き起こすこともあります。
腟トリコモナス原虫による感染は、女性では無症状の場合もありますが、半数以上は、おびただし黄緑色の泡状の悪臭を伴う膣分泌物を伴って発症し、外性器のかゆみや腟炎を起こします。 これらの症状は一般に月経後に強くなり、また、大腸菌などの混合感染をおこします。そして、性交痛や膀胱炎様の痛みが出ることも時々あり、不快な性感染症の一つです。しかし、トリコモナス原虫が膣内にあっても、必ずしも症状がおこるのではなく、無症状であることもよく見られます。
男性も無症状のものから、軽い非淋菌性尿道炎症状がでるものまで、いろいろですが、男性ではトリコモナスの検出が困難で男性パートナーは陰性と判断されることもあります。

HIV感染症(エイズ)
HIV(human immunodeficiency virus)の感染によって引き起こされる病態であり、高度に免疫機能が傷害され、日和見感染や悪性腫瘍、脳神経障害が発生し、死亡する疾患です。 HIVは感染者の血液、精液、子宮頚管粘液中に存在します。このため、おもな感染経路は性行為であり、このほかHIVを含んだ血液製剤の使用、輸血、注射器のまわし打ちなどにより感染することがあります。
また、感染妊婦からの母子感染により約25%の児が感染します。 輸血および血液製剤による感染は現在ではきわめてまれであり、性行為および母子感染が重要視されています。

HIVは感染力が弱く、夫婦の一方が感染してもその配偶者が感染しない場合もあります。 多くの場合、感染してから7-10年の間は症状を示さず、無症候性キャリアーといわれる時期があります。この時期に知らずに性行為を介して他人に感染させる危険があります。その後、エイズの前駆症状として、発熱、下痢、体重減少、リンパ節腫脹などを主とするエイズ関連症候群といわれる時期があり、やがて典型的なエイズの症状を示すようになります。

婦人科的には、HIV感染者では子宮頚部の細胞診で異常を示す率が高く、子宮頸がんの発生率も高くなります。このため、わが国においても、従来のエイズの診断基準に、浸潤性子宮頸がんがエイズの特徴的症状として加えられるようになりました。

最近、淋菌感染症が増えているというデータは、如何に日本の社会全体が、エイズを始めとする性感染症に対する恐怖感・危機感がなくなっているかを示しています。最も管理し易い淋菌感染症が、日本のように増えているのは、感染症学の常識からすれば、近い将来、エイズ大流行をおこす可能性が高いと盛んにいわれています。

日本は、今、性感染症に関して大きな問題を抱えていると言えます。 最近、エイズ/HIV感染症の治療がとても進歩しており、この病気で死亡することはとても少なくなってきています。
患者さんはお薬を飲みながら、普通の日常生活をおくれるようになってきており、いわば糖尿病などと同じような慢性疾患といえます。

真菌感染症
起因菌はCandida albicansが主ですが、その他にC.glabrataが多いようです。C.albicansは通常、女性の膣の中に10-15%、妊婦では30%前後に認められますが、単にカンジダ菌を検出したのみでは病的とはいえません。健康な膣内にも少数の真菌が存在することは少なくありません。この状態は常在菌であり、治療の対象になりません。
真菌性膣炎といわれる状態は、なんらかの誘引によって真菌が異常に増殖し、膣に炎症を起こした状態です。 外陰の強い掻痒感、帯下の増量(白色または淡黄色で酒粕状、粉チーズ状)、外陰部の発赤を認めた場合、初めて治療の対象になります。菌の増殖には妊娠、糖尿病、抗生物質投与、ステロイド投与など易感染性や菌交代現象などが関与します。
感染経路は性交感染、自己感染、家庭内感染などがあります。

毛じらみ
毛ジラミの寄生により、陰部にかゆみがでるのが特徴です。時には毛ジラミに刺された所が点状に紅くなることで気づくこともあります。陰毛に附いている虫卵か、または毛ジラミそのものを検出することで診断がつきます。毛じらみは最近少なくなっているとはいえ、なかなか根絶には至りません。 潜伏期は1-2ヶ月、毛じらみは一般に陰毛部に生息するが、眉毛や睫毛にも寄生することがあります。毛じらみは一日に10回の吸血が必要で、虫卵は約1週間で孵化し、吸血し始め、約2週間で成虫になります。 女性やとくに乳幼児では、眉毛、睫毛、頭髪にも発症します。吸血部位に一致して激しい掻痒、刺咬部位の点状紅斑、掻破による細菌の二次感染、湿疹化がみられます。 局所の剃毛とスミスリンパウダーというOTCの薬剤を使って駆除します。(卵には効果が弱いので、幼虫が孵化するまでの約1週間をみこんで3-4日毎に3-4回散布します)

肝炎
肝炎ウイルスとして現在A,B,C,D,EおよびG型が認められています。HAVの主な感染経路はfecal-oralです。すなわち、感染者の糞便中に排出されたHAVが、なんらかの媒介体を通して未感染者の口に入り感染が成立します。A型急性肝炎の臨床的特徴は発熱(38℃以上)、食欲不振、悪心、嘔吐などの消火器症状、全身倦怠感、黄疸がみられますが慢性化することはありません。 HBVの感染経路としては、血液を介しての感染で輸血、医療行為などが主であるが、人と人の密接な接触でも感染します。性行為による感染は、対象が成人であることから一般的には一過性感染で、現在のB型急性肝炎の5-30%は性行為によるといわれています。 HCV肝炎の経過も他のウイルス肝炎とほぼ同じようですが、A型やB型に較べて症状は軽く劇症化はまれと言われています。しかし、B型と較べて免疫能の発達した成人でもHCVに感染すると高率にキャリアーに移行します。すなわちC型急性肝炎の60-80%は慢性肝疾患へ移行し、肝硬変から肝癌のナチュラルヒストリーを呈します。

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