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院長ブログ

アセトアミノフェンってすごい薬?

アセトアミノフェンの歴史


アセトアミノフェンは1873年に米国の生化学者であるHarmon Northrop Morseが合成した化合物です。1955年には米国のNcNeil社が 小児用解熱鎮痛薬(Tylenol®:タイレノール)として市販開始してからは一般的によく知られた薬となりました。
胃障害や腎障害の副反応が起こることは少ないのですが、アルコールとの併用で肝障害の発生頻度は高まるといわれています。そのため、アセトアミノフェンの過量服用を防止する目的で2014年にアメリカ食品医薬品局(FDA)はアセトアミノフェンを325mg以上を含有する医薬品処方を中止する勧告をだしました。日本でも1989年に『本庄保険金殺人事件』がおこりました。この事件はアセトアミノフェンが主成分として使われている風邪薬と連日の大量飲酒で急性肝不全を起こさせ殺人を犯した保険金詐欺でした。

ちなみに成人で150~250mg/kg(体重60kgなら15g)が1回の摂取で重篤な肝毒性を引き起こす閾値といわれています。350mg/kg(60kgなら21g)ではほぼ100%重篤な肝障害を起こすということです。

 

アセトアミノフェンは薬局でも買えます!


アセトアミノフェンはOTC(一般用)鎮痛・解熱剤としても100年以上、全世界で安全に利用されています。 今では鎮咳剤、感冒薬などの配合剤としてかなり使われており、一般薬を重複して使っていると知らない間に過量服用になっていることがあるのでアセトアミノフェンの含有量には注意をはらわなくてはなりません。

日本では鎮痛剤より解熱剤としてOTC配合剤に使われています。しかも、配合量も海外より少ないものが多いのでその点では安心ですが・・・・

また、保険制度では 2011年1月まで1回500mg,1日1500mg という制限がありました。しかし、現在では1日4000gまで投与が可能となっていますので、処方薬と一般薬を服用する場合は過量服用に注意しましょう。

アセトアミノフェンの作用機序


解熱作用:
アセトアミノフェンの主作用は解熱です。機序はまだはっきりとわかっていませんが、脳の視床下部にある体温調節中枢に作用し、発汗を促す末梢血管が拡張し、汗を出し、それが皮膚表面で蒸発し、気化熱で体の熱を奪うという説が有力です。

鎮痛作用: 
アセトアミノフェンの鎮痛作用も未だ解明されていません。機序はわかりませんがプロスタグランジンやカンナビノイドあるいはセロトニンなどといった痛みに関与する脳内物質に影響を与えていると考えられています。

カンナビノイドは「脳内麻薬」とも呼ばれ、痛みを感じにくくさせる物質と言われています。またセロトニンは主に気分と痛みにも関与しているといわれています。しかし、オピオイド系鎮痛剤と異なり、脳内に直接作用はないので興奮、眠気などの副反応や薬物依存、耐性、離脱症状はないといわれています。

抗炎症作用:
アセトアミノフェンはアスピリンやイブプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬 (NSAIDs) と違い、中枢性の作用だけなので抗炎症作用はありません。

 

アセトアミノフェンはすごい薬なのか?


最近では解熱・鎮痛薬のファーストチョイス薬と言われています。NSAIDsと比べると腎障害作用がほとんど問題にならないため、腎機能の落ちている乳幼児や高齢者には使いやすい薬です。

さらに軽微な副反応発現率も1%未満と非常に少ないため、安全性が高い薬といわれています。

副反応は よく起こるもので皮疹 食欲不振 悪心・嘔吐など重篤な副反応としては、 ショック、アナフィラキシー 中毒性表皮壊死融解症(TEN)、皮膚粘膜眼症候群(SJS) 急性汎発性発疹性膿疱症 喘息発作の誘発 劇症肝炎、肝機能障害、黄疸 顆粒球減少症 間質性肺炎 間質性腎炎、急性腎不全 がまれに報告されています。

ただ、アルコールとの併用の高用量アセトアミノフェンは肝臓に負担がかかりやすいので注意しましょう。長期間・高用量使用し続けている場合は、肝機能など血液検査は定期的にしましょう。

NSAIDsもアセトアミノフェンも同じく解熱鎮痛作用を持ちますが、両者にはいくつかの違いがあります。 NSAIDsの方が解熱・鎮痛作用は強いといわれていますが、安全性はアセトアミノフェンのほうが高いようです。

NSAIDsではよく起こる胃痛や胃炎、胃潰瘍などもアセトアミノフェンでは起こりにくく、またNSAIDsでは喘息を誘発する事があるため喘息患者さんにもアセトアミノフェンは安全に使えます。

また、妊娠中は全期間を通じてNSAIDsが禁忌薬となりますが、アセトアミノフェンはいつでも安全に使える解熱鎮痛薬です。

アセトアミノフェンは昔からよく使われている薬ですが、用量と肝障害に注意すればNSAIDsと同様の効果を得られます。
また、過量服用にさえ気をつければ安全性も高い薬で、しかも価格も安いため、これから再び見直される薬です!

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