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LGBTとGIDってどう違うの?

LGBT


LGBTとはL(Lesbian:レズビアン)とG(Gay:ゲイ)とB(Bisexual:両性愛者)とT(Transgender:身体的性別と性自認が一致しない人)のそれぞれの頭文字をとった造語である。 現在はセクシャルマイノリティを総称するwordとして使用される。ただ、LGBは性的嗜好を表すが、Tは「心と体の精神的な一致がない」という性的指向ではない性の同一性障害である。LGBTと言われるセクシャルマイノリティはは全人口の4~8%は存在するとも言われている。
キリスト教的価値観が色濃く影響を残す西洋諸国では、同性愛は聖書において指弾される性的逸脱であり、宗教上の罪(sin)とされてきた。新約聖書のパウロ書簡においても偶像崇拝や婚前性交渉、魔術や占いと共に「男色する者」には救いはなく地獄に堕ちると書かれている。ソドミー法と言われる宗教的価値観との葛藤の中でLGBTとしての権利を獲得した歴史がある。

wordの起源:
80年代にセクシュアル・マイノリティの権利を求める活動を「ゲイとレズビアンの活動」と称してGLと呼んでいた。その後、90年代にセクシュアル・マイノリティとしてBとTを加えLGBTというwordが使われ出した。2000年代に入ると次第にこのwordがパブリックになり、2006年の「レスビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーの人権についてのモントリオール宣言」で初めて公文書にこのwordが使われた。

日本の現状:
LGBTのwordが日本に入ってきたのは2000年代後半で書籍として使われたのは2007年出版の 『医療・看護スタッフのためのLGBTサポートブック』(メディカ出版)が最初と思われる。2012年夏に『週刊ダイヤモンド』と『東洋経済』がLGBTで特集を組んでおり、その頃からLGBTが認知されはじめた。2015年頃からは一般的に使われるwordとして市民権を得つつある。しかし、日本の場合は権利獲得運動が実り認知されたwordとしての感覚よりは、最初に取り上げられたのが経済誌であることが象徴的なようにLGBTの経済市場としてひとくくりにされている感がある。

これは、歴史的にも仏教や神道では信仰者にとって性は禁欲的なものではなく、江戸時代までは「葉隠」に書かれているように男娼や男同士の恋愛もタブー視されていない。日本で性が禁欲的になり、同性愛がタブー視されるようにはなったのは、明治以降に政府が西洋文化的価値観を導入し、さらに国家神道樹立のため、明治以前の伝統文化にこのような新文化を巧妙に潜り込ませて、江戸時代までの日本文化とすり替えた勝者の歴史によるものである。

そのため、基本的には宗教的に罪の意識が色濃く人々にすり込まれた西洋諸国と違い、戦いの中で勝ち取った権利というよりは今までもフワリとした感覚で認知していた性の指向を経済市場の特定集団的として認知した感がある。

だからこそ、LGBTはwordとして日本では違和感なしに受け入れられているが、歴史を考えるとやはりLGBとGIDの違いを認識してLGBTを考える方がセクシャルマイノリティに対する理解はより深まる。

LGBTの本来の意味:
大きく分けると性にはカラダの性(染色体によるもの)とココロの性(自分が思う性のアイデンティティ)とキモチの性(性的指向)の3つに分けることができる。 この3つが一致している人が社会の中では大半であるが、それが一致せず今までは社会に受け入れないと思いカミングアウトもできなかった層が4~8%も存在していた。そのセクシャルマイノリティを受け入れる社会が全世界的(まだまだ先進国に限られるが・・)にできつつある。 その象徴としてLGBTというwordが使われているのが現状であろう。

付け加えるとキリスト教的価値観に翻弄された時代が終わり、人間本来の自由な発想を楽しめる時代になったかもしれないが、このような発想は、仏教や自然崇拝である神道の考え方と合致し、日本人のアイデンティティとしても受け入れやすい思考である。

GID


GIDは前述したようにココロとカラダの性の乖離に悩む性同一性障害という疾患である。

その中でもカラダの性が男性でココロの性が女性の人はMTF(Male to Female)、カラダの性が女性でココロの性が男性の人はFTM(Femle to Male)と呼ばれる。

原因は胎児期のホルモンシャワー説もあるが、思春期の一時的な離人感なのかもしれない。精神科的には疾患として樹立しているが、まだまだ解明が必要な精神的症状であると思う。

時期としては第二次性徴の現れる思春期にカラダの性に対して違和感や嫌悪感を持ち、悩みはじめることが多い。

日本精神神経学会が提唱している「性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン」には 第1段階では精神療法(カウンセリング)を受け、症状が安定しない場合は 第2段階となるホルモン療法(可逆的治療)を受ける、さらに要望が強ければ 第3段階である外科的治療(性別適合手術:非可逆的治療) という経過を踏むのが標準治療手順となっている。

また、法的整備としては平成15年7月には「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」(特例法)が成立し、平成16年7月から施行された. この法律によって,性同一性障害者は,性別適合手術の実施後に戸籍の性別変更ができるようになった. 

GIDをLGBとひとくくりにする違和感


GIDは主に欧米諸国での症例の積み重ねにより疾患として認識されてきた。しかし、LGBに関して性的指向の部分が強調されたセクシャルマイノリティのwordである。中にはGIDで苦しんでいるが、経済的、社会的理由により、嗜好部分だけにとどめているという人もいるだろう。しかし、性的指向だけで満足している人たちもいる。

GIDはココロとカラダの乖離が精神的に負担をもたらし、できるだけその距離を縮めるため、ホルモン剤の投与、性転換手術、戸籍の変更など種々の障害を取り除くために多大な労力を有する疾患として認識されている。

つまり医学的関与は小さくない。しかし、LGBは社会的にマイノリティ差別を解消すれば、ココロとカラダの乖離をそれほど気にしない場合もあるため、医学的関与よりは社会的関与の問題のほうが大きい。

この両者は似ているようで、全く違っていると認識すべきである。

すべてをセクシャルマイノリティ差別と結ぶ付けるのはくくりがおおざっぱすぎて、社会がLGBとGIDを同一視してしまう危険がある。

両者を同一視することなく社会的違和感と個人的違和感に分けて考えるべきであろう。

 

GIDの性転換手術が保険適用になる?


厚労省は、心と体の性が一致しない性同一性障害(GID)の人を対象にした性別適合手術(性転換手術)について公的医療保険の適用対象にするため検討を始めた。平成16年施行の特例法から考えれば当然の結果といえる。

FTM(female to male)に対しては乳房切除術、子宮付属器切除術(卵巣除去術)、尿道延長術、陰茎形成術などがあり、、MTF(male to female)に対すしては除睾術、陰茎切断術、造腟術などがある。

現在は精神療法一部のホルモン療法のみが保険適応であるがそれ以外は自費で100万円を超える高額な費用が壁となって手術をためらう人も多い。しかし、保険が適用されれば三割程度の負担金で行える。

厚労省発表では性同一性障害で国内の医療機関を受診した人は、27年末までに延べ約2万2000人。性別変更した人は28年時点で約6900人である。

平成16年に施行された性同一性障害に関する特例法では、この手術を性別変更の要件の一つとしている。さらに性同一性障害の人は精神保健福祉法で精神障害と位置付けられている。法的な性別変更を可能にするため比較的費用が安い海外に渡航して手術を受ける人も多く、国内と国外での手術件数がほぼ同数である。

しかし、厚労省は保険適用の範囲について、性別変更の条件を踏まえ、心の性に身体を近づけるホルモン療法は対象から外す方向で検討しているらしい。 このあたりの条件変更は厚労省の行政パラニイア的思考であろう。

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