日常から医療の話まで院長の徒然日記

陥入爪のフェノール法治療について

フェノール法

炎症を伴う陥入爪に対して爪のくいこんだ部分を除去した後で組織腐食作用を持つフェノールを爪母(爪を作る部分)に塗り、その部分の爪母を壊死させて爪が生えてこないようにして再発を防ぐ手術(保険適応)

前医で爪切除を行ったが反対側再び炎症が起った。そがわ式ワイヤーで持ち上げた。もし他医にかかっていたら青で囲んで部分の爪を切除しフェノールを爪母に注入されていたかもかもしれない。

過去に巻き爪・陥入爪の手術としておこなわれ鬼塚法(爪甲切除と側爪郭の縫合)を原法として、爪母の切除を薬液を使い壊死させることでさらに簡便にした方法です。

長所と短所

長所:再発を繰り返し、保存的矯正法では治らない場合は最終手段して有効
保険適用で治療ができる。3割負担では8000円~10000円ほど

短所:爪の幅は狭くなり、整容的に見栄えはよくない
薬液による組織の破壊のため、範囲の限定が不正確である
   再発の可能性も高く、予期せぬ場所から爪が生えてくることがある
切除側の側爪郭の把持がなくなるため、爪の変形が起る可能性がある
糖尿病等、フットケアが必要な方には適応がない
各学会でも積極的にはしないよう警告をだしている

皮膚科学会のホームページ
形成外科学会のホームページ

爪甲・爪床・爪母を人工的に触る手術の一番の問題点は爪甲と側爪郭の連続性を手術で絶つことです。爪は後爪郭・側爪郭。爪下皮に囲まれて爪床に固定されています。その一辺の連続性を破壊することは将来その一辺に負荷がかかり、数年後に爪の変形で爪甲鉤彎症を起こすことがあります。


フェノール法の術後は化膿せず、止血していれば、翌日から水につけても問題なく、2週間程度で傷も治りますが、保存的矯正法ではその日からなんの処置も必要なく日常生活が送れます。 

フェノール法で爪を半切した場合でも、数年後には再び巻き爪になる例も多いようです。

当院に巻き爪の治療に来られた方ですが、20年ほど前に左側の爪だけフェノール法で巻き爪治療をしたため、爪の幅に左右差がある

爪母を触る手術は永久的に爪形を変えることを目的にしています。しかし、まだまだ医学的に爪母がどのような過程で爪形成に関わっているか完全には解明されておりません。
そのような状態で爪母に手術的操作を加えることは危険とも言えます。
保存療法で治る爪矯正法がいくつか開発されている現状を考えれば、巻き爪・陥入爪の治療のファーストチョイスは保存的矯正法が現状ではベストであると考えます。

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