日常から医療の話まで院長の徒然日記

ワクチンの種類

感染症の予防に用いる医薬品です。歴史的にはジェンナーの種痘からはじまったといわれていますが、中国でも古代より天然痘患者の痘瘡部をすりつぶし、体に塗ると疫を免れる場合があること(人痘接種法)は知られていました(致死率1%:自然発症した場合20〜50%)。

日本における人痘接種の意義  酒井シヅ(順天堂大学医学部 医史学研究室)

牛痘にかかっている牛の乳しぼりを絞っている人たちは天然痘にかからないことは牛飼いたちの間では知られていたので、それを応用して種痘接種をジェンナーが発表しました。

しかし、免疫の機序はジェンナーの時代には完全に解明されていませんでした。病原体から作られた物質を無毒化あるいは弱毒化し、それを抗原として投与することで、体内の病原体に対する抗体産生を促し、感染症に対する免疫を獲得するという機序がおぼろげながら分かりだし、医薬品として工業化されたのはジェンナーの種痘法発表から50年後でした。

牛痘發蒙(ぎゅうとうはつもう)

免疫の機能はいまだに完全に解明されているわけではありませんが、異物が体に入った場合、体はそれを外敵とみなし、排除しようとします。その排除機能はそれぞれの異物に対して記憶されるため、2回目の侵入には素早く対処できるということです。

免疫機能とワクチン COVID19治療に医療資源を振り分けるため

現在ではワクチンが感染症予防において最も重要な防疫手段です。そのワクチンもいろいろな種類があり、2021年は新ワクチン元年ともいわれる画期的な遺伝子ワクチンが人のワクチンとして実用化されました。

安心してワクチンを打つために そこでもう一度、ワクチンの種類をおさらいし、ワクチンに対する理解を深めましょう。

インフルエンザのウイルスが同定され、ワクチンが作られ、治療薬が承認され、ウイルスを作ることまで人類はできるようになりました。

その百年の歴史はこちらからご覧ください。

生ワクチン

生ワクチン( 弱毒化ワクチンor弱毒ワクチン )とは、活性のあるウイルスや細菌の病原性を低下(弱毒or無害化)させて作ったワクチンです。通常の免疫反応が体の中でおこり、液性免疫(抗体)や細胞性免疫を惹起させることになります。種痘が代表的な生ワクチンですが、日本では以下のものが認可されています。

ポリオワクチン(現在、定期接種は不活性化ポリオワクチン)

麻疹ワクチン(現在はM(麻疹)R(風疹)ワクチンが主流)

風疹ワクチン(現在はMRワクチンが主流)

男子は風疹抗体を調べてMRワクチンを接種しましょう‼️
COVID19治療に医療資源を振り分けるために

流行性耳下腺炎ワクチン

髄膜炎菌・おたふく風邪・日本脳炎・百日せきのワクチン考えて‼️  
COVID19治療に医療資源を降り分けるために:

水痘ワクチン(帯状疱疹予防ワクチンとしても使われます)

BCGワクチン

ロタウイルスワクチン(経口ワクチン)

黄熱ワクチン(流行地域に行く場合は接種が必要です)

ちなみに野口英雄は自分が作ったワクチン(実際はワイル病ワクチン)は黄熱病に効くと信じてアフリカで黄熱病にかかって亡くなりました。

毒性を弱めた、あるいは無毒化した微生物やウイルスを抗原に使うため、液性免疫とともに細胞性免疫も獲得できると考えられています。また不活化ワクチンに比べて獲得免疫力は強く、免疫持続期間も長いようです。

しかし、 短期間で多種のワクチンを接種した場合、免疫干渉により弱毒化病原体が体内で増殖せず、免疫獲得に失敗することもあると考えられるため、日本では生ワクチンと生ワクチンの接種期間は27日以上開けることとされています。

不活化ワクチン

不活化ワクチンとは、ウイルスや細菌を薬品処理などで不活化し、その外郭に対して液性免疫反応を起こし、中和抗体を産生させるワクチン。日本では以下のものが認可されています。副反応が少なく安全性は高いのですが、液性免疫しか獲得できず、免疫持続期間も短いようです。しかし、免疫不全症の場合でも投与は可能です。

四種混合IPVDPT:ジフテリア(D)百日咳(P)破傷風(トキソイド)(T)ポリオIPV)の4種類 ワクチン(定期接種)

Hibワクチン

2013年に定期接種になり、重篤なHib感染症が減っています。

破傷風トキソイドワクチン

被災後の片付け前に破傷風ワクチンを接種してください‼️
COVID19治療に医療資源を振り分けるために

日本脳炎ワクチン

B型肝炎ワクチン

医療資源従事者なら必ず接種しているB型肝炎ワクチンを打ちましょう‼️
COVID19治療に医療資源を振り分けるために

HPVワクチン

 ウイルスのゲノムを含まない外殻蛋白質のみを、微生物や昆虫細胞、植物で産生、単離、精製したワクチン。投与後は抗原蛋白質が細胞外から取り込まれ、ペプチドに分解されて、主に液性免疫を誘導すると考えられている。これまで世界では、B型肝炎ワクチンやヒトパピローマウイルスワクチン(子宮頸がんワクチン)など、複数のウイルス様粒子(VLP)ワクチンが承認されており、日本を含めて相当数の投与実績がある。
 COVID-19に対しては、田辺三菱製薬の子会社であるカナダMedicago社がVLPワクチンを開発中。また、阪大微生物病研究会も複数のモダリティの1つとして、VLPワクチンの研究開発を進めている。

HPVワクチンを接種しましょう‼️
COVID19治療に医療資源を振り分けるために

肺炎球菌ワクチン(高齢者用小児用があります)

2歳未満の乳幼児では、蛋白成分を含まない抗原部分だけでは免疫を惹起できないため、乳幼児用【プレベナー13(沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン) 】と高齢者用【 ニューモバックスNP(23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン) 】に分かれています。

65才以上は補助がでる肺炎球菌ワクチンを打ちましょう‼️
COVID19治療に医療資源を振り分けるために

インフルエンザワクチン

インフルエンザワクチンは接種しよう。でも一人一回でね‼️
COVID19治療に医療資源を振り分けるために

インフルエンザワクチンは今後、注射接種から経鼻接種にかわります。

帯状疱疹ワクチン(シングリックス)

水痘帯状疱疹ウイルスの表面に存在する糖タンパク質E(gE)を抗原とした組換えサブユニットワクチンです

アデノベクターワクチン

ヒトに対して病原性の無い、または弱毒性のウイルスに目的に抗原蛋白質の遺伝子を組み込んだ遺伝子組換えウイルスワクチン。そのウイルスが細胞に侵入し、細胞質で抗原蛋白質を高発現することで、液性免疫、細胞性免疫を引き起こすと考えられています。

生ワクチンの中身が違うと想像すると理解しやすい。エボラ出血熱で初めて使われた技術であるが、COVID-19では、ウイルスベクター(運び屋)にスパイク蛋白質の遺伝子を組み込んでいます。アストラゼネカはチンパンジーアデノウイルスをベクターとして開発され、イギリスで新型コロナウイルスワクチンとして認可されました(2021年1月現在)

また中国・カンシノはアデノウイルス(5型)を、ジョンソン&ジョンソン社はアデノウイルス(26型)を、IDファーマはセンダイウイルスを用いたワクチンを開発中です。一般的にはウイルスベクターに対する抗体が一回目の接種でできるため、2回目の接種ではウイルスベクター自体が攻撃されると言われています。しかし、アストラゼネカは2回接種で70%程度の抑制率を示しています。

アストラゼネカの新型コロナワクチン(AZD1222) を論文とwikiから読み解く

DNAワクチン

DNAワクチンは、病原体の設計図であるDNAをワクチンにした遺伝子ワクチン。細胞内に取り込まれると核内でDNAの指示にしたがってmRNAに転写され、病原体のタンパク質を合成し、細胞から放出された 病原体タンパク質 に対する液性免疫が働くと考えられています。mRNAワクチンに比べ、抗原蛋白質の発現には、転写と翻訳の2段階が必要となるために抗体発現率が低いとも指摘されています。日本ではアンジェスが阪大と協力してアジュバントを添加して免疫原性が上げるワクチンを開発していています。

mRNA ワクチン

mRNA は、人体や環境中の RNA 分解酵素で簡単に破壊されるため、細胞に侵入するため特殊な脂質を用いて脂質ナノ粒子(lipid nanoparticle, LNP)として接種されます。RNAワクチンと同様に細胞内に入り込むと病原体タンパクを産生し、細胞外に放出します。そのタンパク質を抗原と認識し、液性免疫が働き、免疫原性を発揮します。

新型コロナウイルスワクチンとして初めてファイザーとモデルナのmRNAワクチンがアメリカと欧米で認可を受けました。

モデルナの新型コロナワクチン(mRNA-1273 ) をFDAブリーフィングノートから副反応中心の解説
ファイザー・ビオンテックの新型コロナワクチン( BNT162b2 mRNA ) を原著論文で副反応を中心として解説

ファイザー・ビオンテックの新型コロナワクチンのアナフィラキシーショックについて一般のワクチンより10倍ほど多い見込み

Maintaining Safety with SARS-CoV-2 Vaccines

日本でも2月末から新型コロナワクチンの接種が始まると言われています。

https://www.youtube.com/watch?v=HLwM5uCfNrk&t=3s
アーカイブQ&A インフルエンザワクチンではなく・・・新型コロナワクチン接種スキームの今
丁寧な説明と同意と観察を新型コロナワクチン接種スキーム にいれてほしい!

最後にADEについて述べておきます

ADE( 抗体依存性感染増強 )とはワクチン接種などで抗体ができていたため、その病原体に再度であった時にその抗体が感染を促進させたり、症状を悪化させてしまうという現象が知られています。

ADEの詳細な機序はあきらかになっていませんが、デング熱は病気自体が再感染の時に重症化することがわかっており、ADEではないか考えられています。デング熱ウイルスワクチンは一度大々的に接種されましたが、接種後に重症化する例もあり、ワクチン接種が中止になりました。

今回の新型コロナウイルスワクチンがADEを起こすかどうかは世界的な接種数から考えると年内には明らかになると思います。

それまでは

手洗い・うがい・休息

症状があれば出歩かない

三密を避ける

冬場は換気と加湿に注意する

でみんなで頑張りましょう!

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